第3回講座

2014年3月9日(日) 埼玉『資本論』教室の第三回講座が浦和市の埼玉会館で開かれ、参加いたしました。当日、高崎を出るときはまだ寒かったのですが、浦和におりたら昨日までの寒さが嘘のようにポカポカした暖かい日和でした。南の島

受付で配布されたレジュメには、次のようにかいてあります。


=埼玉『資本論』(第二巻)教室=

第3回 資本循環と自立的増殖性

ー第1編第2~4章 貨幣-/生産-/商品資本の循環形態。
    自立的自己増殖価値としての実を示すー


びっくり今日のレポートは長くなりそうです。((-_-)/~~~ピシー!ピシー!)
良かったら、お付き合いください。

司会者の説明のあと、
宮川彰先生により熱い講義が展開されました。

まず、1コマ目は
「ワンポイント」という最近の話題を『資本論』の立場から見る、いわば応用編講座です。
わたしはこれもとても楽しみにしています。
今回のテーマは、盛りだくさんで、「食品偽装の問題補遺」「ノーベル経済学賞ちぐはぐな受賞・堕落の露呈」「消費税増税をゲームでもてあそぶ『経済学』」そして前回の「ビット・コイン問題のその後」などが取り上げられました。「食品偽装の問題」では、現在の大学生が考えたこの問題の「答案」が紹介されました。若い方が、問題の本質をしっかりとらえていることに頼もしい感じがしました。また、「ビット・コイン」がなぜ「賭博場」のようになったのかということが改めて解説されました。そのなかで、現在の通貨に対する不安からもっとも価値が安定している貴金属(金・プラチナ等)を買い、「貨幣蓄蔵」の変形なっている状態が紹介され、「金の仏具」まで販売され、資産保持(仏具は日常生活的道具なので、「遺産」となっても相続税の対象とならないのだそうです)の道具に使われている状況が紹介されました。資産家の「欲望」というものはすごいですね。もちろん私たち庶民には関係ないことですが、、、。 もっとも焦眉の問題である4月からの消費増税に対する「経済学者」の解説が俎上に上がりました。東大教授でゲーム理論を専門とする松井彰彦さんが朝日新聞電子版に書いた記事「(4月から消費税が3%あがるが)しかし、価格や料金が必然的に3%上昇すると考えるのは早計である。」「増税の負担は消費者と供給者双方が負うことになる」という意見の吟味です。現象ではたしかに「消費税分は転嫁できない」と悲鳴を上げる小売店も沢山出てきますが、しかし「仕入れにはきっちり3%増の8%の消費税が転化されているので、業者が転嫁できなくても消費税は徴収されている」のです。したがって、消費者が商品を買えば結局は3%増の8%の金額が徴収されているというのが現実。宮川先生はこう強調されました「国家権力による強制徴収」と「販売競争(自由市場)によって値引き合戦による価格の下落」を混同してはならないと。そう、だから消費増税は価格がどんな状況に変化しても客観的にみれば「4月から、強制的に8%徴収される」ものなのですね、だから問題が大きいのですよね。明快になりました!

2~3コマ目からは、

いよいよ『資本論』第二部の本文解説です。
テキストの『資本論』新日本新書版第5分冊から始まる部分です。
レジュメのタイトルは次のように書かれています。

● 第一編 第一章の「貨幣・生産・商品資本循環」をよむ
● 第四章 まとめ「循環の三つの図式」を学ぶ

なかなか中身が濃いので、
また先生がすごくハッスルして熱弁をふるっておられたので、
その感動を再現するのは、かなり困難です。

みなさんご承知のように『資本論』第二巻のメインタイトルは「資本の流通過程」です。これは「資本」というものが資本主義的経済システムの中でどのような運動するか、どのようにして価値増殖(剰余価値を入手)するかという循環のマジックを解き明かすものです。そして、その最初の一歩は、第一編「資本の諸変態とそれらの循環」となり、(資本が様々な資本に姿を変えながら循環している)変態の様子とその中にある価値増殖の解明です。

今回の講義は、資本が三つの姿に変態(変身)する
1貨幣資本―第一章
2生産資本―第二章
3商品資本―第三章)ことを解明し、次に、それらの変態と循環の過程を図式としてまとめます。(第四章)
なんと!この四つの章までで、テキストとして使われている新日本新書版『資本論』の第五分冊の90%近くを占めているのです。それを今回だけで解説するというのですから、、、、手に汗をにぎって傾聴しました。すごかったです。「ほんとにいい話を聞いた」という回でした。全部は解説しきれないので、さわりだけ紹介します。大事なポイントは、次の四つかなあ、と思いました。

(1)マルクスのかいた図解の意味を正確に理解すること、
(2)三つの循環から見えてくるものをしっかりと捉える。
(3)三循環を統一して捉えることが重要性。
(4)「価値の自立性」について理解することが核心ではないかとおもいました。

まずは、マルクスの「資本の運動・循環」の図解です。この図は『資本論』の解説書でもおなじみのものですが、意外ときちんとした理解が難しいもののようです。今回とても詳しくお話いただきました。普通はGとかW、Pm、Aなどの文字で書かれる図ですが、全てドイツ語の頭文字を取ったもの、G=貨幣(Geld)、W=商品(Waren)

A=労働力(Arbeit)、Pm=生産手段()、P=生産過程(Produktionsprozess)だそうです。そして、この図のなかに資本が増殖する過程も、循環の意味もすべてあらわされているのだそうです。

 

g-w

この運動は、一度で終わるのではなく、繰り返し繰り返しおこなわれ(再生産)ますので、見方は、この運動の連続した循環を見なければなりません。この図のあらわす資本の運動を『資本論』新日本新書版は「資本主義的生産」と訳していますが、初期の訳本は「資本家的生産」と訳されていたのだそうです。また、マルクスが「資本主義」と書いたのは、ここ一か所しかないというのもびっくりしました。

ところで、この流れを言葉で表すと、こうなります。

まず、資本家が持っている「貨幣資本」(G)で労働力(A)と生産手段(P)という内訳を持つ生産資本(W)を購入する―――ここが、貨幣資本(G)から生産資本(W)に変態(変身)する場面。―――交換過程が中断されて、生産過程(P)に入る——あたらしい商品資本(W’)が誕生する。ここで、剰余価値が生産される。交換(売買)によって、商品資本(W’)が増殖した貨幣資本(G‘)に変態(変身)する。そこで、「資本の循環」という問題を考えると、当然スタートをどの資本に取るか、それによって何が解るのかというという問題になります。それは、マルクスによって次のようにまとめられていることが解りました。

1、貨幣資本を出発点にした場合
2、生産物を出発点にいた場合
3、商品を出発点にした場合

いずれにしても、この三つの循環運動は統一して見て、考えてゆく重要性が判ってきました。その後講義は、『資本論』の訳本の中から、「絶対に重要」という点を読み上げながらの解説がありました。面白かったです。

最後に、次回の予告がありました。「次はとっても面白い問題です!」と、コメントがありました。
すごく楽しみになりました。

これからでも面白いですから、ぜひ参加しませんか。