怒りの日に資本論

先日、憲法違反の「特定秘密保護法」が自公政権によって強行採決されました。
いままでに経験したことのない程の「怒りの日」となりました。
稀代の悪法を強引に押し通した安倍内閣による
「平和と民主主義にたいする罪」
「憲法を否定する罪」は必ず歴史によって裁かれることでしょうね。
阿部首相は「静かになった」と喜んでいるようですが、、、
「しずけさや、大地に染入る 民の声」が聞こえないのでしょうか?
「軍事機密だから一般国民は関係ない」といっていますが、
群馬でしきりに行われる米軍による夜間低空飛行、その情報を知らせること
相馬が原にオスプレイがくるらしいという情報等々をしらせること
「軍事情報」は県民の平和な生活と深くかかわっていて、
根本的に対立しているものなのです。

ところで、戦前の言論弾圧を調べたいと思ってインターネットウォッチングをしていたら「資本論」をめぐる先人たちのすごさを見る記事を見つけました。
それは、
戦前の「資本主義発展史講座」発行の中心人物である野呂栄太郎と山田盛太郎に関するレポートです。
山田盛太郎は、今私が講義を受けている宮川彰先生の叔父にあたる方だそうですが、野呂栄太郎とならんで、特に経済学の分野では抜きんでた理論を展開された方で、とくに「再生産表式分析序論」と「日本資本主義分析」は、名著として戦後も多くの経済学を学ぶ人々に大きな示唆を与えてくれた文献なのだそうです。
前者はすでに絶版となっていて入手困難ですが、後者は岩波新書で現在も入手できます。

わたしは、前者は「古書ネット」でさがして、後者は書店に注文して二年ほど前に購入し読んでみました。
とくに「日本資本主義分析」は、とにかく細密な調査力とマルクスの「再生産論」への深い理解、そしてその日本分析への創造性に驚嘆してしまいました。(巻末の年表はすごいです、本文にあった群馬県桐生市の織物産業の調査もその詳細さに脱帽しました。)

「資本論」に関連する書物への戦前の検閲は、熾烈を極めたのは言うまでもなく、野呂栄太郎の名著「日本資本主義発達史」は、たくさんの伏字(×)が強要され、あげくには34歳で投獄虐殺されたのは有名です。
それに比較すると、山田盛太郎の「日本資本主義分析」は伏字がすくなかったということが、不破哲三著「戦前の理論史と野呂栄太郎」(「前衛」2012年9月号)で紹介されてれ、「検閲との闘争でそれ以上に大きな役割を演じたのは、山田(盛)が難しい山田式の造語を無数につくりだし、文章全体をそれで武装した」(前掲論文51ページ)ことを指摘しています。

戦後に改定出版された岩波新書版では伏字は一つもないので、権力者がどんな言葉を恐れていたのかが分かりません。しかし、復刻版でみると「絶対的天皇制」のことを英語でAbsoluteと書いているのにびっくり、これでは官憲も歯が立たないことでしょうね。他にも用語を慎重に選んで使用しているのが読み取れます。「なるほど、検閲官には、論文がむつかしすぎて理解できなかったのか」と思いました。

たまたまインターネット上で今日発見したレポートは、山田盛太郎が、野呂栄太郎の著作を詳細に読み、どの用語が伏字にされたかを研究していた形跡が発見されたというものです。まさに、先人たちの「権力の横暴」とたたかう努力がどれほどすごいものであるかを再認識する記事です。

山田盛太郎は、東京大学経済学部長を定年退官した後、教鞭の最後を龍谷大学で執っていたようで、膨大な山田盛太郎に関する文献・資料が「龍谷大学山田文庫」にあるのだそうです。わたしが今日発見したレポートは「山田文庫」の関係者の方のようです。

「山田文庫の野呂榮太郎著『日本資本主義撥達史』の一つの読書痕についての報告」(2012,10/18加筆)」というタイトルの文書です。ぜひサイトに訪問して読んでみて下さい。。

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